今回の記事のkeyword:米国株,配当金,確定申告,総合課税,申告分離課税,源泉徴収,ETF,有利不利,配当控除,330万円,所得税,外国税額控除,
この記事にはプロモーションが含まれます。
こんにちは、うずめろです。
今回は、以前の記事①、②の続きで、所得税率20%の場合で、米国株からの配当金と日本株からの配当金を確定申告する際の有利不利を計算してみたいと思います。
前回の記事では、以下のような結論が得られました。
- 課税所得が330万円未満であれば、「総合課税」が有利。
- 課税所得が330万円以上となった場合、「総合課税」では不利になる可能性が高く、米国株式からの配当金と日本株からの配当金の比率によって何が有利か不利か決まる。
- 米国株式からの配当金と日本株からの配当金の比率によるシミュレーションが必要である。
課税所得が330万円から694万9千円までは所得税率が20%となり、「米国株式からの配当金と日本株からの配当金の比率によって何が有利か不利か決まる。」と言うことが分りました。
何が有利不利かというのは、米国株式からの配当金と日本株からの配当金を確定申告する際に、「総合課税」「申告分離課税」「総合課税+源泉徴収」のどれを選べば有利になるか?と言うことです。
今回は、所得税率20%の場合の、米国株式からの配当金と日本株からの配当金の比率によるシミュレーションを実施してみたいと思います。
注意事項として私の条件によるシミュレーションなので、全てに当てはまるものではありません。
結論
- 外国税控除が最大の10%適応される場合、日本株からの配当金が米国株からの配当金の約3.2倍よりも多い場合は「総合課税」、それより少ない場合は「申告分離課税」が有利となる。
- 外国税控除が少ない場合(9%未満)、「日本は総合課税+米国は源泉徴収(申告なし)」が一番有利となる可能性がある。
- 例として、外国税控除が7%適応される場合、日本株からの配当金が米国株からの配当金の2.5倍よりも多ければ「日本は総合課税+米国は源泉徴収」が有利となり、それより少ない場合は、「申告分離課税」が有利となる。
シミュレーション(外国税額控除が最大10%の場合)
米国および日本株式からの配当金に係る税
所得税率20%の場合、米国および日本株式からの配当金に係る税は以下のようになります。
米国配当金に係る税 (%) | 日本配当金に係る税 (%) | |||||
源泉 | 分離 | 総合 | 源泉 | 分離 | 総合 | |
所得税 | 13.5 | 13.5 | 18 | 15 | 15 | 20 |
住民税 | 4.5 | 4.5 | 9 | 5 | 5 | 10 |
外国税 | 10 | 10 | 10 | 0 | 0 | 0 |
外国税控除 | 0 | -10 | -10 | 0 | 0 | 0 |
配当控除 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | -12.8 |
最大税控除適応 (単純合計) | 28 (A) | 18 (B) | 27 (C) | 20 (D) | 20 (E) | 17.2 (F) |
配当控除は所得税10%、住民税2.8%
アルファベットは計算に使用する記号
シミュレーション方法
各種税控除が最大で適応された場合の単純合計した税率を用いて(上記表最下段)、米国株式からの配当金と日本株からの配当金を両方とも「申告分離課税」で申告するよりも、両方とも「総合課税」で申告した方が有利になる米国株式からの配当金に対する日本株からの配当金の倍率を計算してみたいと思います。
つまりは、米国株式からの配当金の比率が多いと「総合課税」よりも「申告分離課税」の方が有利になり、日本株からの配当金の比率が多いと「総合課税」の方が有利になってくるので、申告分離課税と総合課税の税額が同一になる比率を計算するということです。
この税額が同一になる比率の計算は、上記表の (C-B)/(E-F) で計算することが出来ると思われます。
シミュレーション結果
この計算式を元に、外国税控除が最大の10%適応された場合に申告分離課税と総合課税の税額が同一になる比率を算出すると、米国株式からの配当金が1の場合、日本株からの配当金は3.214286となりました。
つまりは、日本株からの配当金が米国株式からの配当金の約3.21倍よりも多いときは「総合課税」が有利となり、それよりも少ない場合は「申告分離課税」が有利になる可能性が高いということです。
外国税控除が最大の10%適応される場合、日本株からの配当金が米国株からの配当金の3.2倍よりも多い場合は「総合課税」が良さそうですね。
それより少ない場合は、「申告分離課税」がよいかもしれません。
シミュレーション(外国税額控除が7%の場合)
米国および日本株式からの配当金に係る税
上記のシミュレーションは、外国税額控除が10%受けられる場合ですが、おそらく、満額の10%を受けられる人は少ないのではないでしょうか?
私も、昨年は24,669円の外国所得税に対して、15,098円の外国税額控除でしたので、外国税額控除は約6.12%となっています。
外国税額控除は、「申告分離課税」も「総合課税」も同様にかかりますので、外国税額控除の額によって「申告分離課税」と「総合課税」の有利不利に関わる日本株からの配当金の比率は変わりません。
しかし、外国税額控除が少なくなると米国株式からの配当金を「総合課税」で申告するよりも、「源泉徴収(申告無し)」を選択した方が、米国株式からの配当金に係る税金が少なくなります(↓表)。
外国税控除 7%の場合 | 米国配当金に係る税 (%) | 日本配当金に係る税 (%) | ||||
源泉 | 分離 | 総合 | 源泉 | 分離 | 総合 | |
所得税 | 13.5 | 13.5 | 18 | 15 | 15 | 20 |
住民税 | 4.5 | 4.5 | 9 | 5 | 5 | 10 |
外国税 | 10 | 10 | 10 | 0 | 0 | 0 |
外国税控除 | 0 | -7 | -7 | 0 | 0 | 0 |
配当控除 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | -12.8 |
最大税控除適応 (単純合計) | 28 (A) | 21 (B) | 30 (C) | 20 (D) | 20 (E) | 17.2 (F) |
配当控除は所得税10%、住民税2.8%
アルファベットは計算に使用する記号
つまりは、外国税額控除が少ない場合、「総合課税」や「申告分離課税」よりも「日本株からの配当金は総合課税」+「米国株式からの配当金は源泉徴収」の方が、トータルの税金が少なくなる可能性があります。
ちなみに、外国税額控除が少ない場合とは、外国税額控除が9%未満の場合と思われます。
シミュレーション方法
それでは、外国税額控除が少し多めの7%の場合でシミュレーションしてみたいと思います。
外国税額控除が7%の場合、何を頑張っても「日米共に総合課税」は「日本は総合課税+米国は源泉徴収」に負けますので、「申告分離課税」と「日本は総合課税+米国は源泉徴収」の税額が同一になる比率を計算してみます。
この税額が同一になる比率の計算は、上記表の (A-B)/(E-F) で計算することが出来ると思われます。
シミュレーション結果
上記の計算式を元に、外国税控除が7%適応された場合に「申告分離課税」と「日本は総合課税+米国は源泉徴収」の税額が同一になる比率を算出すると、米国株式からの配当金が1の場合、日本株からの配当金は2.5となりました。
「申告分離課税」vs.「総合課税」よりも、日本株の比率がだいぶ減りました。
つまりは、外国税控除が7%適応された場合、日本株からの配当金が米国株式からの配当金の2.5倍よりも多いときは「日本は総合課税+米国は源泉徴収」が有利となり、それよりも少ない場合は「申告分離課税」が有利になる可能性が高いということです。
外国税控除7%という条件では、日本株からの配当金が米国株からの配当金の2.5倍よりも多ければ「日本は総合課税+米国は源泉徴収」が良さそうですね。
それより少ない場合は、「申告分離課税」がよいかもしれません。
ちなみに、「日本は総合課税+米国は源泉徴収」の場合、外国税額控除が少なくなればなるほど、米国株式からの配当金に対する日本株からの配当金の比率は低くなります(例:外国税額控除4%の場合、日本株の比率は約1.42倍)。
また、この「日本は総合課税+米国は源泉徴収」が選べない(使えない)場合は、外国税額控除が最大10%の場合のシミュレーションと同様の「日本株からの配当金が米国株からの配当金の約3.2倍よりも多い場合は「総合課税」、それより少ない場合は「申告分離課税」が有利となる。」が適応されると思います。
適応される外国税額控除(%)と米国株式からの配当金に対する日本株からの配当金の比率は以下のような対応になると思われます。日本株からの配当金が比率よりも多い場合において「日本は総合課税+米国は源泉徴収」の方が「申告分離課税」よりも有利になる可能性があると考えられます。
外国税 額控除(%) | 比率(倍) | 有利 倍率以上の場合 | 有利 倍率以下の場合 |
10% | 3.214286 | 総合課税or 総合+源泉 | 分離課税 |
9% | 3.214286 | 総合課税or 総合+源泉 | 分離課税 |
8% | 2.857143 | 総合+源泉 | 分離課税 |
7% | 2.5 | 総合+源泉 | 分離課税 |
6% | 2.142857 | 総合+源泉 | 分離課税 |
5% | 1.785714 | 総合+源泉 | 分離課税 |
4% | 1.428571 | 総合+源泉 | 分離課税 |
3% | 1.071429 | 総合+源泉 | 分離課税 |
2% | 0.714286 | 総合+源泉 | 分離課税 |
1% | 0.357143 | 総合+源泉 | 分離課税 |
まとめ
今回は、所得税率20%の場合で、米国株からの配当金と日本株からの配当金を確定申告する際の有利不利をシミュレーションしてみました。
シミュレーションの結果以下の可能性が示唆されました。
- 外国税控除が最大の10%適応される場合、日本株からの配当金が米国株からの配当金の約3.2倍よりも多い場合は「総合課税」、それより少ない場合は「申告分離課税」が有利となる。
- 外国税控除が少ない場合(9%未満)、「日本は総合課税+米国は源泉徴収(申告なし)」が一番有利となる可能性がある。
- 外国税控除が7%適応される場合、日本株からの配当金が米国株からの配当金の2.5倍よりも多ければ「日本は総合課税+米国は源泉徴収」が有利となり、それより少ない場合は、「申告分離課税」が有利となる。
- 「日本は総合課税+米国は源泉徴収」の場合、外国税額控除が少なくなればなるほど、有利となる米国株式からの配当金に対する日本株からの配当金の比率は低くなる。
- 「日本は総合課税+米国は源泉徴収」の方法が選べない場合は、日本株からの配当金が米国株からの配当金の約3.2倍よりも多い場合は「総合課税」、それより少ない場合は「申告分離課税」が有利となる。
確定申告で日本は総合課税+米国は源泉徴収をする方法
確定申告で日本株からの配当金は総合課税+米国株からの配当金は源泉徴収(申告無し)をする方法は、前回の記事でも紹介していますが、結論を言うと「米国株式だけの特定口座」を作成すれば、米国株式からの配当金を申告しない(源泉徴収で済ます)ことが出来ると思います。
米国株式だけの特定口座を作るためには、証券会社が2つ以上必要となります。
私の場合、SBI証券と楽天証券を使っています。現在は持ち株は全てSBI証券に統一していますので、米国株式だけを楽天証券に移管することで、米国株式だけの特定口座を作ることが出来ます。
現在はまだ米国株式だけの特定口座作成していませんが、米国株式からの配当金以外で課税所得が330万円(所得税率20%)を超える様になったら作成する予定をしています。
証券口座を複数持っていると今回の条件だけでなく、色々な場面で使えるシチュエーションが出てくると思います。
是非、証券口座を複数持っていない方は、この機会に作ってみてはいかがでしょうか?(口座開設は無料です)
今回も最後まで読んでいただきありがとうございました。
Bitcoin・FX・個別株のデイトレで大損失(損失400万円+メンタル不調)、デイトレで心身に不調が出てきたので2021年から長期のインデックスと高配当株投資に切り替え。資産や家計簿をブログやXで発信中||最終学歴:博士後期課程修了|学位:Ph.D. 博士(学術)|40代サラリーマン(専門職)|手取年500万円|総資産5500万円|含み益1200万円|投資歴15年以上|育休取得予定。
コメント